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1950年(昭和25年)に制定された「建築基準法」は、宮城沖地震(マグニチュード7.4震度5)による被害状況から、建物が備えるべき耐震性能の見直しを迫られることになりました。1995年(平成7年)1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)は、活断層型の直下地震であり、神戸市内中心部に甚大な被害を与えました。1981年に改訂された「新耐震基準」で建てられた約30%の木造住宅に大きな被害を与えます。 この被害により14年前に改正された新耐震基準の有効性が検証され、平成12年に新耐震基準は再改正されるのです。(2000年基準) 建築基準法は最低限守らないといけないルールであり、絶対ではありません。 弊社では、単純に壁量を増やす設計・計画ではなく、バランスのとれた耐震補強と経済設計に取り組んでおります。
大地震で倒壊しない耐震性(強さ)があるか調査し、確認することです。耐震診断の目的は、お住まいの弱点を認識し、具体的な対策をたてることにあります。 具体的には、調査員がお住まいにお伺いして、現況(劣化状況)を確認し、間取り、筋交いの有無、基礎の鉄筋有無、外壁、内壁、屋根材等を調査し、計算(プログラム)し、評価致します。評価は以下の通りです。
下の図は、昭和60年に建てられた在来軸組木造住宅です。他社で雨漏りの補修工事の際、補強工事が施工されていましたが、Y軸方向の壁が撤去し、X軸方向の耐力壁を増設する計画だった様です。増設されたX軸の耐力壁も適切に接合されておらず、耐力壁として用をなしてない状態でした。 耐震診断の結果は、【1階】X:0.684 Y:0.436【2階】X:1.110 Y:1.056 1階のY軸方向の筋交い耐力壁を撤去した為、かなり評点が下がった結果となってました。
下の図は、1階、2階ともにX軸方向に増築(910mm)と主に1階全体のリフォームの計画です。 増築部分の壁に適切に耐力壁を配置し、1階、2階ともに評点を1.0以上にするのですが、なるべく工事費用が掛からないように経済設計が求められます。
ただ耐力壁を増設すれば良いわけではなく、建物全体のバランスも大事です。 重心(平面的に中心になるところ)と剛心(強さの中心)が遠いと壁量があっても建物が平面的に揺れます。X軸、Y軸方向ともに左右バランスよく壁を配置しないといけません。 下図がそのイメージです。
(既存診断) x軸方向1,900mm y軸方向600mmのズレ
(補強計画) x軸方向950mm y軸方向250mmのズレ
補強前の状態では1階の耐力も少なく重心と剛心が大きく隔てているため、大きな地震があると1階部分が大きく揺れ倒壊する可能性が高かったことになります。阪神淡路大地震や熊本地震での報道でも皆さんがよく見られた光景だと思います。
耐震工事の実績