耐震診断とは |
大地震で倒壊しない耐震性(強さ)があるか調査し、確認することです。耐震診断の目的は、
お住まいの弱点を認識し、具体的な対策をたてることにあります。
具体的には、調査員がお住まいにお伺いして、現況(劣化状況)を確認し、間取り、筋交いの
有無、基礎の鉄筋有無、外壁、内壁、屋根材等を調査し、計算(プログラム)し、評価致しま
す。評価は以下の通りです。
下の図は、昭和60年に建てられた在来軸組木造住宅です。他社で雨漏りの補修工事の際、補強
工事が施工されていましたが、Y軸方向の壁が撤去し、X軸方向の耐力壁を増設する計画だった
様です。増設されたX軸の耐力壁も適切に接合されておらず、耐力壁として用をなしてない状態
でした。
耐震診断の結果は、【1階】X:0.684 Y:0.436 【2階】X:1.110 Y:1.056
1階のY軸方向の筋交い耐力壁を撤去した為、かなり評点が下がった結果となってました。
下の図は、1階、2階ともにX軸方向に増築(910mm)と主に1階全体のリフォームの計画です。
増築部分の壁に適切に耐力壁を配置し、1階、2階ともに評点を1.0以上にするのですが、なるべく
工事費用が掛からないように経済設計が求められます。
耐力壁をただ増やせばいいわけではない! |
ただ耐力壁を増設すれば良いわけではなく、建物全体のバランスも大事です。
重心(平面的に中心になるところ)と剛心(強さの中心)が遠いと壁量があっても建物が平面的に
揺れます。X軸、Y軸方向ともに左右バランスよく壁を配置しないといけません。
下図がそのイメージです。
(既存診断) x軸方向1,900mm y軸方向600mmのズレ |
(補強計画) x軸方向950mm y軸方向250mmのズレ |
補強前の状態では1階の耐力も少なく重心と剛心が大きく隔てているため、大きな地震があると1
階部分が大きく揺れ倒壊する可能性が高かったことになります。阪神淡路大地震や熊本地震での
報道でも皆さんがよく見られた光景だと思います。